宿屋からみたヨーロッパ3 ドイツの宿
20年前にドイツの宿に泊まったとき、あまりの安さに驚いたことがあります。ホテルで30マルク、ペンションで20マルク、ユースホステルで10マルクという値段のところなんかがあった。当時の日本円にすると、
ホテルで2100円、
ペンションで1500円、
ユースホステルで700円
というところです。当時の日本の宿の半額ぐらいで泊まれた気がします。もちろん、高い宿もあって100マルクくらいの宿もありましたけれど、安いホテルを紹介しろと頼めば、そのくらいで泊まることは不可能ではなかった。
ところが、今回、宿探しをしてみると、ユースホステルで最低20ユーロなのです。1ユーロ2マルクですから、40マルクなんですね。つまり、4倍に値上がりしている。ユースホステルが20年前のホテル並みの値段になっている。じゃ、高いホテルの値段は?と調べてみると200ユーロ。つまり400マルク。20年前の4倍です。日本円にすると3万円。
平均して宿泊費が3倍から4倍にあがっている。
これは、為替の変動を考慮しても高騰しすぎています。レストランにしても同じで、ちょっとしたものを食べると10ユーロくらい、すぐに無くなってしまう。むかしは、10マルク(5ユーロ)もあれば、けっこう食べられたのに。いまじゃ、10ユーロじゃたいしたものは食べられなくて、20ユーロ(3000円)くらいないと、好きなものは食べられません。
ただ、ホテルの朝食事が豪華になっていたのには驚きました。20年前のホテルの朝食といえば、パンとジャムと珈琲(または紅茶)のみでしたが、いまは、そんな宿は皆無です。ユースホステルでさえ、バイキング形式で、ハムやチーズやサラダ、シリアル、フルーツ、サラダなんが食べ放題なんですよね。
20年前の簡素な食事は、
いったい何処にいってしまったんだ?
どうして豪華な朝食になったんだ?
ところで、バイキングとなると、貧乏性な私なんかは、全部を食べようと、食べきれないくらいのハムとチーズをてんこもりにして、お腹を壊さんばかりに食べるんですが、ドイツ人たちの御客様をみていると、彼らは、ほぼ全員が、朝からハムやチーズなんか食べないのです。
じーっとハムを見て迷ったりはするんですが食べない。
パン2個とジャム1個に珈琲1杯ですませている。
つまり、20年前にドイツの宿に泊まったときの姿と同じなんです。で、朝食バイキングでガツガツ食べているのは、たいていが私のような外国人だったりします。つまり、ドイツ人にとっては、20年前の簡素な食事で充分ということなのか! そうなのか! とみょーに納得してしまいました。
ところで、ここからが本題です。
この物価の変動、つまり宿泊費の変動によって何が変わるかと言いますと、夫婦2人旅行をする場合、無理してユースホステルに泊まって節約する意味がなくなりつつあるということなんです。
こんなこと、ユースホステルのマネージャーが言うことではありませんが、ユースホステルの料金が、最低20ユーロ、年齢プラス料金によっては、30ユーロだったりすると、その倍額の値段60ユーロですから、その金額ならば、かなり立派なホテルの個室に泊まれるんですね。こうなると、ますますユースホステルに泊まる意味が無くなってくる。
そうなると、ユースホステルは、たんなる宿では、滅びてしまうでしょうね。ユースホステルらしい特色がないと、ホテルに御客様を奪われてしまうことになります。これは日本でも同じ事ですけれど。
つづく
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